相続対策としての賃貸住宅建築



今年から相続税の基礎控除部分が減らされ、
それに伴い相続税対策が盛んに行われました。
特にキャッシュが少なく、土地などの不動産が相続財産の多くを占める場合、
賃貸住宅建築が有効な手段のひとつなので、
住宅会社は盛んにそれを勧めています。
今、住宅業界は、空前の賃貸住宅建築ラッシュです。
 
しかし、どんなケースでも建築することが妥当な相続対策とは言えません。
他にやれることがあるかもしれません。
全体像を見ることなく、目先の対策で建築に走るべきではありません。
 
そもそも相続対策とは、一般的に3つの対策を言います。
・相続税対策
・納税資金対策
・財産分与対策
 
これらをまとめて相続税対策です。
賃貸住宅建築は、相続税対策にはなります。
しかし今既に空室が多くある中で、
将来的な空室リスクを考えておかなければ、
被相続人は、リスクのみを相続することになります。
業者側は「一括借り上げ」を前面に押し出して建築を促しますが、
それも将来にわたって同じ家賃がずっと保障されているというものではなく、
途中途中で見直しがあります。
企業のやることですから、リスクをすべて被ってくれることなんてありません。
いつでも個人の方が立場は弱いのです。
 
マンションの一室を購入するなどの相続税対策の場合、
売却することによって、リスクを断ち切ることも出来ます。
しかし自分の土地に建てた大きな賃貸住宅は、
簡単に売ることも出来ませんし、売っても損失が大きくなるのが実情です。
 
住宅会社としては、賃貸住宅を建てるお客様は、上得意様です。
一物件の単価が大きいうえに、複数建ててもらえるチャンスもあります。
だからそこにリスクがあっても、あまり大きい声では言いません。
 
将来的な財産分与を考える場合でも、
建築の仕方次第では、揉めてしまうこともあります。
争族の種火にだってなりかねないということです。
 
賃貸住宅建築は、相続税対策にはなるが、
総合的な相続対策を考えると、最良とは言い切れない。
 
まずは全体像を把握して、
どこにどう対策を打つべきかを知ることが重要です。