「知ってたのか、知らなかったか」



「何でも言ってくださいね」
私自身も、メーカーの営業をしていた時に、お客様によく伝えていました。そして、何を聞いていいかよく分からないという言葉も、お客様からよく言われていました。
いくらお客様の為を思った提案であっても、業者側にいては、お客様側の質問を代弁することは出来ないんだなと改めて感じました。

お客様の図面を見せて頂き、マイホームプロデューサーとして気になるところをいくつもお話させていただいていた中で、和室とリビングの間の床仕上げにお客様は首を傾げました。「そこは聞いていません。どうなっているんでしょう?」
リビングと和室の間をフルオープンにしたいので、扉が全開する仕様にされていたのですが、生憎動かせない柱があるようで、リビング側にずらしながら扉を引き込んでいました。
その為、和室側から見ると畳と扉のレールの間に隙間が出来、そこを何で仕上げるか聞いて...いないとのこと。
図面だけではフローリングが敷かれるようでしたが、そうすると扉を閉めた状態で和室側から見ると変。
結果的には、やはりそこはフローリングで仕上げられていて、私もどうしてそうなるかについてご説明していたので、お客様もメーカー側にいくつか選択肢を出してもらった上で、現状維持を選択されました。

「聞いて出来上がるのと、聞かずに出来上がるのとでは、やっぱり満足度が違いますよね」お客様はきちんと納得されたご様子でした
そうです。お客様はメリットデメリットを整理した上で、ちゃんと選びたいんです。
しかし提案側としては、お客様の要望上そうなってしまうことに、それ以上あまり問題提起や提案をしないところがあります。でもそれは第三者でないと気づけない部分なのかもしれません。

プロの目で見て、お客様の家に対するお客様自身の思いを代弁する。それも使命の一つだと改めて感じました。