マンションの傾斜問題に思うこと

今、非常に残念なニュースを目にしています。
横浜市のマンション傾斜の事件です。
 
今回の杭打ち工事を請け負っていたのが、旭化成建材。
私が前職でお世話になった旭化成ホームズの兄弟会社です。
旭化成というのは今は持ち株会社になっていて、
それぞれのグループ会社は独立採算なので、
直接の関わりがあるわけではありませんが、
それでも消費者の目から見たら、同じ旭化成です。
 
旭化成建材は、主にへーベル版というALC(軽量気泡コンクリート)の製造や、
ネオマフォームなどの断熱材を作っています。
私の自宅の外壁や天井、床のALCも、壁の断熱材も、旭化成建材製です。
しかしマンションの杭打ち工事の施工を事業としているとは正直知りませんでした。
高い技術力をもとに、今までになかったような価値を提供してきた旭化成も、
組織が大きくなればなるほど、やはり最後は人だな、と感じます。
目先の利益を求めるのか、人としての道を全うするのか。
 
今回のことが、属人的な問題なのか、組織ぐるみの問題なのか、
そういうことはこれから明らかになっていくのでしょうが、
マイホームという資産の根底が崩れるような思いをしている入居者の方の心の痛みは、
私たちが想像するものよりも遥かに大きいものなのでしょうね。
もし建て替えをすることになると、生活環境の変化を余儀なくされるわけですし、
その間の仮住まいなんかも大変です。
手放して住み替えをしようとしても、資産価値はガタ落ちしているでしょう。
今は不安しかない、そういう入居者の方が不憫でなりません。
 
そして、私は旭化成ホームズにかつての同僚がたくさんいるのですが、
真面目に頑張っている営業達も、
これから風評被害を受けて、しばらく受注は難しくなるのかも知れません。
誤魔化すことなく真面目に営業活動をしている人がいる中で、残念でなりません。
 
ちょっと得をしよう。
これくらいいいんじゃないか。
バレないんじゃないか。
そういうちょっとした個人の身勝手が、
もしくはそういう考えに至らせる上司や部場の雰囲気が、
そこにまったく関係のない方々を苦しめるというのは、あってはならないことです。
 
私はマイホームプロデューサーとして、
営業サイドの誤魔化しなんかはチェックすることが出来ます。
後々しまったにならないように、
落とし穴になるような部分を、お客様の代わりに確認しています。
しかし、地中のことで、しかも現場の担当しか確認できない部分になると、
私個人ではどうしようもないんですよね。
 
だからこそ、出来るだけ入り口付近で、
誤魔化しが多いのか、誠実な対応をするのか、などを、
資料や折衝経緯から推察していくことが、
私に出来ることなのかと思っています。
 
そして今回の件は、
出来るだけ入居者の方が安心できる形で、進んでいくことを、
祈りながら見守ることしか出来ないのでしょう。